キーボードの展開ギミックに心奪われる!テキスト入力特化型PC「PORTABOOK」レビュー

ガジェ獣 Advent Calendar 2016の16日目の記事です。

面白そうだからとりあえず買ってみたけど、結局全然使わない。そんな気がしていたけど、いい意味で期待を裏切ってくれたPORTABOOKをレビューします。約1ヶ月、ガチで使ってみました。メインノートPCのMacBook Proよりも使用時間が長かったかもしれません。

ね? ちゃんと使ってるでしょう? 原稿やブログの文章を書くときは基本的にPORTABOOKを使っています。無理して使っているわけじゃなくて、明確な理由があるんだけど、それは後々。まずはPORTABOOKのスペックから見ていきます。

アンバランスなスペック

PORTABOOK XMC10 スペック

CPU Intel Atom x7-Z8700 Cherry Trail  1.6GHz Quad-Core
RAM 2GB LPDDR3-1600
ROM 32GB eMMC 5.0
OS Windows 10 Home 64bit
ディスプレイ 約8インチ ノングレア TFT液晶(1280×768)
フロントカメラ 約200万画素
サイズ 高さ 約153 × 幅 約204 × 厚さ 約34mm
重量 約830g
カラー クロ
ストレージ容量が少なすぎてWindows Updateするだけで一苦労

RAM 2GB/ROM 32GBってスマートフォンかな?というレベルで、さすがに足りません。せめてRAM 4GB/ROM 64GBは欲しかったところ。Windows Updateでストレージ容量不足になるので、めっちゃストレス溜まります。

ドラゴンクエストX ベンチマークソフトのスコア

CPUはIntel Atom x7-8700(ちなみにSurface 3と同じ)を搭載していて、処理性能に不満を感じたことはありません。ゲームとか動画編集とか、そういうヘビーなことに使うマシンではないので、文章を書いたり資料を作成する程度であれば余裕です。だからこそ、ストレージの貧弱さがもったいない。

外観

VAIO Pとサイズ比較

実は最近までVAIO Pをたまに使っていたけど、さすがに動作が鈍すぎて無理だなって感じていました。サイズ的にも用途的にもVAIO Pの後釜として活躍してくれています。

MacBook Pro 13インチとキーピッチを比較

キーの横幅は13インチのMacBook Proと同じくらいです。持ち運ぶときはコンパクトに、使うときはフルサイズのキーボードを使えるのがPORTABOOKの強みであり、最大の魅力です。

3.5mmイヤホンジャック・USB 2.0・HDMI・D-Sub 15ピン・microUSB(充電用)

USB-AやフルサイズのHDMIを搭載しているので、変換アダプターを経由することなく直接接続できます。でも、D-Sub 15ピンはいらなかったかなぁと。最近のプロジェクターやモニターは普通にHDMIありますからね。

マウスのレシーバーや小型のUSBメモリを挿したままでも背面端子カバーを閉められるように、USB端子部分が少し奥まったところにあります。

横から見ると楔形

PORTABOOKはI/Oポート部分がとても分厚く、その要因がD-Sub 15ピンな気がします。ビジネス用途ではまだまだ現役のコネクタなのかもしれませんが、個人的には必要ないのでその分薄くしてほしかったです。ここはユーザーの用途次第で変わってくるので、なんとも言えないところですが。

変形するスライドアークキーボードがエモい

ギュイーンガチャン!この動きだけで買ってよかったって思いました。こういうの大好き。派手な動きが目を引きますが、指を掛けるところが設けられているなど使いやすさも妥協していません。

アルミフレームで剛性を確保しているので、結構強めに打っても大丈夫です。一枚板じゃないから、力みすぎるとちょっとたわむけど。

キーの中央が凹んでいます。これが最高に打ちやすい。指にフィットするというか、吸い付く感じ。打鍵感も良くて、文字入力は快適そのものです。

一般的なキーボードはEscキーの下に半角/全角キーがありますが、PORTABOOKはEscキーの横に全角/半角キーがあります。慣れるまで押し間違えが多発してちょっとイラッとするかもしれません。

Engadege 日本版がアップロードしている開発者へのインタビュー動画が面白いです。試作段階では露出していたスライダー機構を内部に収めるなど、開発段階での苦労や工夫、こだわったところなどを紹介しています。興味がある方は見てみてください。

文房具メーカーならではのアプローチがステキ

一般的なノートPCと違って天板にメーカーロゴはなく、ディスプレイのベゼル部分にさりげなく入っています。本当にさりげなく。

認証マークなどはキーボードの裏側に刻印されているので、普通に使っている限り見えません。手帳感覚で持ち歩けるように、細かい部分にもこだわっていることがわかります。

光学式フィンガーマウスは好みが分かれそう

光学式(オプティカル)フィンガーマウスは、細かい操作をするには少しコツが必要です。おそらく、感圧式の方が使いやすいというユーザーの方が多いと思いますが、構造上仕方がないのかなと思います。

ディスプレイの品質が残念すぎる

液晶の表面のアンチグレア加工がお粗末なのか、めちゃくちゃ見づらい。画像だとわかりにくいので、家電量販店とかで見てみてください。画面保護フィルム貼ったら改善するか、後日試してみようと思います。発色が悪いとかその辺はもう妥協するしかないですね。

画面サイズと解像度はちょうどいいかも

8インチ液晶で1280×768は案外ちょうどよくて、でも時には物足りない。PORTABOOKで文章を書くときは、エディター画面しか開きません。というか、解像度が低いのでエディター開いたら限界です。余計な情報が入ってこなくて集中できるので、これはこれでアリかなって。

一方で、複数のウィンドウを開きたいときには不便です。例えば、情報源を見ながら文章を書くとか。でも、ウィンドウを2つ並べて快適に使える環境だとTweetDeckが常駐してしまう。だから、たまに不便に感じてもこれくらいの解像度がちょうどいいと思うことにしています。

値崩れした今が買い時!

価格.comの価格推移グラフを見ると、11月で一気に下落しています。現在でもじわじわ値下がり中で、もう少しで2万円を切りそうです。

2015年の12月に発売され、定価は約9万円でした。スペックを考えるとかなり割高感がありますよね。キングジムの製品は発売直後に結構値段が落ちる傾向があって、半年後くらいに適正価格になる印象ですが、PORTABOOKは一気に値崩れしました。気になっていた方は今ポチりましょう!

キングジム純正のケースもセットでほしいところですが、こっちはあまり安くなっていませんね。PORTABOOKを定価の約9万円で買っていたらこれくらいの出費は気にならないかもしれませんが、本体がここまで安くなってしまうと高く感じてしまいます。とは言え、フィット感は純正品ならでは。気軽に持ち出したいので、お財布に余裕があったら買ってみようかな。

まとめ:キングジムだからこそ実現できたPC

キングジムはテキスト入力しかできないポメラを世に送り出した文房具メーカーで、キングジムにしか作れないものを常に模索しています。その中で生み出されたPORTABOOKは、キングジムにとって挑戦的な製品だったと言えるでしょう。

文章を書くだけあれば、とても快適に使えるPCです。つまり、テキスト入力に関係する部分、特にキーボードについてはすごく作り込まています。しかし、それ以外の部分、例えばディスプレイはイマイチでしたが、今の価格ならテキスト入力用PCとして購入してもいいと思いました。

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